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及び瀬戸内海の定められた海域における船舶交通の安全を図るため、特別な交通方法、危険を防止するための交通制限、灯火等について規定したものである。
(8)海上運送法
海上運送法は、海運に関する企業法である。海運事業が独占に走らず、過度の競争に陥らず又公共の利益に反する取引を一方的に強制することがないように、これらの企業を国家的な監督の下に健全な発達を図って、公共の福祉を増進することを目的とするものであって、船舶安全法とはその対象を異にするものである。ただし、海上における安全なくしては海上運送事業の発達はなく、公共の福祉もあり得ない。かかる高次の意味において両法は互いに他を補足する関係にある。
(9)漁船法
漁船法は、漁業の発達育成のための一環の法律として漁船の建造調整、登録、依頼検査、試験に関するものを定め、漁船の性能向上と漁業生産力の合理的発展を目途としている。
船舶安全法は、海上における人命確保の至上目的のため堪航性その他の施設等を定めているものであって、漁船といえども特殊船の一形態に過ぎない現実から、これについても等しく安全確保を期しているものである。
(10)電波法
電波法は、電波に関する一元的な行政を行い、電波の公平かつ能率的な利用を確保するため、無線局の免許、無線設備、無線従事者、運用等を定めている。
従って、船舶に関する無線について、その強制施設範囲は海上交通の安全を確保する施設として、船舶安全法で定め、なお技術的な基準等は電波法によるものとしているから、両法によって始めて船舶無線の機能が発揮されるものであって、車の両輪の如きものである。
(11)海難審判法
海難審判法は、海難審判庁の審判によって海難の原因を明らかにし、その発生を防止しようとするものであって海難が人の故意又は過失によって発生したものであるか、船員の労働条件によって発生したものであるか、物的原因によって発生したものであるか、その他外的要因によるものであるかを探究し、裁決をもって結論を明らかにして、懲戒又は勧告の措置をとるものである。

 

 

 

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